ピーチ(Peach Aviation)は、5月22日に記者会見を開催し、ビットポイントジャパンと共同で、仮想通貨「ビットコイン」を活用した直接決済サービスを、12月末までに導入すると発表した。ビットコインを用いた直接決済サービスの導入は、国内航空会社として初の試みとなる。記者会見では、ピーチ 代表取締役CEOの井上慎一氏が登壇し、同サービスについて説明した。
冒頭井上氏は、これまでピーチが、"イノベーション"をキーワードに、あらゆる局面で"ファーストムーバー"、いわゆる"いちばん最初に取り組む"ということにこだわってきたことを示しつつ、そのファーストムーバーにこだわる新たな取り組みとして、日本の航空会社として初めて、仮想通貨「ビットコイン」を活用した直接決済サービスを、12月末までに導入すると発表。
4月1日に、改正資金決済法が施行されたことで、今後国内でビットコインに代表される仮想通貨を利用した決済サービスや決済対応店舗の広がりが予想されるなか、ピーチはいち早く仮想通貨を活用するサービスを導入することで、顧客の利便性の向上や、インバウンド需要増大への対応、さらに地方創生につなげたいという。
ピーチのビットコインを活用したサービスは、国内で仮想通貨取引サービスなどを展開しているビットポイントジャパンと連携して提供する。井上氏は、「ビットポイントジャパンは、世界で最も安全なビットコインのブロックチェーン技術を持っている」と述べつつ、「"安心・安全な取引の実現"をモットーに、仮想通貨交換地を運営するビットポイントジャパンと、安全を経営の最重要課題に掲げるピーチにとって、ビットコインサービスを展開するうえで最適なパートナー」と指摘。そして、「ピーチとビットポイントジャパンがタッグを組むことによって、どこよりも安全で安心なビットコイン取引を実現して、ビットコインを身近なものにしたい」と述べた。
また井上氏は、ビットコインは世界共通通貨で、利用時に手数料がかからないため、利用者の利便性を飛躍的に高めると述べつつ、「ビットコインを活用した新たな旅の提案は、日本政府が掲げる2020年までのインバウンド4000万人、ひいては地域創生に対する新たな提案になる、またそうしたいと考えている」と、期待感を示した。
取り組みに関しては、今後拠点化を予定している北海道や、東北、沖縄などをモデル地区として、地元自治体や企業と協力しながら就航空港周辺でのビットコイン加盟店を増やす計画という。合わせて、航空券購入や機内販売でのビットコイン決済なども実現されれば、ビットコインが普及している中国を中心としたインバウンド需要喚起につながるとした。
続いて、ビットポイントジャパン 代表取締役社長の小田玄紀氏が登壇し、今回の取り組みについて説明。
小田氏はビットポイントジャパンについて、「"安心・安全な仮想通貨取引"をコンセプトに、上場企業のリミックスポイントの子会社として、どこよりも安全でどこよりも安心な日本最大のビットコイン取引所を運営しています」と紹介。また、フリーダイヤルによるサポート体制を整えていたり、楽天証券でシステム開発責任者を務めたメンバーが開発した決済システムを利用し、証券会社レベルの強固なセキュリティと管理体勢のもとで運営したりといった、安心・安全に対する取り組みについて説明した。
そして、仮想通貨を投資や投機の対象としてだけではなく、送金や決済など、日常生活を豊かにする手段として活用できるようなさまざまな提案を行なっているそうで、そういった技術を背景として、今回のピーチとの取り組みを実現させていきたいとした。
その取り組みの具体例として小田氏は、「ビットコインしか使わない旅を提案していきたい」という。旅行のときの航空券の購入から、現地でのホテルやレストラン、土産物店での支払いに至るまで、すべてビットコインで済ませられるようにしたいとのこと。また、現金しか使えない店舗については、ビットコインを現金化できる「ビットコインATM」を設置することで対応し、「お財布を持たずに旅行ができる」ようにしたいという。
ビットコインATMは、ビットコインを売却して現金化するための端末で、まずはピーチが就航している北海道、東北、沖縄の空港カウンター周辺に設置していく計画とのこと。最後に小田氏は、「我々は、仮想通貨を活用して日本を元気にしたいと考えています。そしてこの取り組みが、地方創生や、訪日外国人観光客の増加に寄与できるのではないかと考えています。これからのピーチとビットポイントジャパンの取り組みにご期待ください」と述べ、挨拶を締めくくった。
その後、質疑応答において今回の連携に至った経緯について問われた井上氏は、「ピーチは、イノベーションを通じた新しい顧客価値の創出を目指して、さまざまな意見交換を行なっているが、そのなかで小田社長と出会い、今回の連携に至った」と回答。また、具体的な提供サービスについては、「現時点ではまだ具体的な内容は決まっていない」(井上氏)としつつ、利用者の利便性を高めて、より集客につながるものにしたいと回答した。
また、現在のビットコイン取引状況について問われた小田氏は、「2016年末の段階で、94%が中国で取引されている」と指摘しつつ、直近では日本での取引量が全体の50%を超えるようになっており、「日本でも今後はさらに取引量が増えると想定される」と指摘。そして、そういった状況を背景として井上氏は、「中国を中心としたインバウンド需要の喚起や、国内でも増えているビットコインを取引している人をターゲットにしたい。現在ビットコインを使える店舗は限られるが、そこにチャンスがあると考えている。ビットコインが使える店舗を急激に増やせば、ビジネスとして十分やっていけると考えている」と期待感を述べた。
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