2013年6月13日木曜日

マネジメント手法をKnowledge Worker向きに替える

 ASTDでは、元米グーグルで育成プログラムを担当したジュリー・クロウ(Julie Clow)氏が、別のセッションでこんな話をした。

 彼女は、今のマネジメント手法は(人材マネジメントも含めて)工業ワーカー時代の名残が強いが、これをKnowledge Worker向きに切り替えるためには革命的なルールの変更が必要であると主張する。そのほとんどのポイントは既にどこかで聞いたことではあるが、組織における実践となると、なるほど彼女が言うように、多くの組織はまだ時代に追いついていない。

 例えば、朝9時から夕方5時までという勤務体制は明らかに工業化時代にできたものだろう(それを基準にした残業という考え方も含めて)。そういう今までのマネジメントを支配したルールに変えて新しいルールとして彼女は次のようなポイントを指摘した。

(1)Impact not Activities(結果やインパクト重視):
 結果に至るプロセスでは完全な自由を与える。
 
(2)True urgency, not false urgency(見せかけではなく本当の緊急案件に集中する)
 本当の緊急案件に対応する時はエネルギーが湧いてくるが、見せかけの緊急案件(例えば上司が不要に気にしているだけなど)だと、エネルギーは湧かない。

(3)Strengths, not job slots(職務記述書ではなくて本人の強み)
 各人の強みに焦点を当てよう、各人の職務の定義ではなく。 ジュリー自身の例で言うと、彼女のチームは彼女も含めて3人で、職務的に言うと皆Instruction Designer(育成プログラムのデザイナー)だが、1人ずつの強みが異なるので、役割は分かれている。

 ジュリーは、戦略的なビッグピクチャーを描くのが得意。ナンシー(仮名)は、聞き上手でファシリテーションやリクルーティングが得意。フィオリーナ(仮名)は、新しい人脈を開拓したり、チームを形成したりするのが得意。つまり3人の職務は同じだが、タレント(才能)が異なるのでそれを生かすのが大切だ。

(4)Right thing, not everything (すべてではなくて、まさに正しいことに集中)
 情報洪水の中では焦点を正しく定めることが大切である。
 
(5)Grassroots, not top down(上からの押し付けでなくて草の根からの自発性)
 ああせい、こうせいというボスよりも、草の根の人々全体から集合知を汲み上げることが大切だ。

 要するに、グーグルでの体験的な事例に基づきながら、「人が自発的に自分のやりやすい方法で新しいことを学習しながらそれを応用して、遊び的な創造性を発揮すること」を最優先したマネジメントの方法を提唱している。

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