イノベーションできる企業は、トップが誰よりもイノベーティブです。いろいろな企業のトップとお話ししますが、やはりトップが変わろうと思わない限り、企業は変われません。変える能力以上に、変える情熱が必要なのです。ダイエットと同じです。本人が本気になって取り組まないで、健康的に痩せることはできません。
当然ですが、ミドルやボトムから企業がイノベーションできる事例は、多くあります。そういう企業は、社員にイノベーションの機会を与え、それを活かすことのできる制度があります。ある意味、理想的な企業です。
ただ、個人に依存したイノベーションは、戦略的ではありません。戦術的です。戦術的だから、局所的、一時的なイノベーションに終わります。組織的、継続的なイノベーションは、個人ではなく、企業が起こすべきです。そこにトップの意思が必要です。
だから、トップが誰よりもイノベーティブでなければならないのです。変わろうとする思いが、誰よりも強くなければなりません。逆に言えば、トップが本気で変わろうとするならば、企業は必ずやイノベーションを起こすことができるでしょう。
経営者は、必ず組織的なイノベーションを目指してください。なぜなら、個人的なイノベーションは、その人の状態に依存するため、一時的となります。また、その人の興味の範囲からしかイノベーションされません。そして、イノベーションが長期的に続くことは稀です。だから、トップの責任の下、イノベーションに取り組むべきなのです。
「組織」と「個人」では、イノベーションの成功要因が違います。組織的イノベーションの成功の要因は人材ではなく、仕組みです。人材も大切ですが、成功するか否かは仕組みで決まります。有能な人材がいたとしても、仕組みができていないと失敗します。個人的イノベーションと、全く逆なのです。
もう1つ逆のものがあります。それは、イノベーションの火付け役です。組織的なイノベーションを求めるのなら、組織が火付け役にならないといけません。風土の中から自然に沸き起こるのを待っていても、何も始まりません。風土の中から起こるのは個人的なイノベーションだからです。組織が火をつけ、風土が大きくしていくものなのです。
勘違いした企業にならないようにしてください。仕組みや組織が不十分なまま、イノベーションを起こそうとしても、壁にぶち当たるだけです。確実にイノベーションを起こすためには、組織的イノベーションが必要なのです。
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