英語のみを理解する米国人がネイティブな米国発音の英語を聞いた場合と、外国人風発音の英語を聞いた場合では、間違いに対する脳の反応が異なることが判明したそうだ(論文概要、ペンシルベニア州立大学の発表、The Verge)。
ペンシルベニア州立大学などの研究者は、いずれも1か所の間違いを含むネイティブ発音の英文と中国人風発音の英文を被験者に聞かせ、事象関連電位(ERP)の測定により脳の反応を調査したという。被験者は大学に通う年代の39名で、母国語の英語のみを理解し、あまり外国人風の発音に触れていない人が選ばれている。
例文は男性の名前を「she(彼女)」で受ける文法的な間違いを含むものと、「airplane(飛行機)」とすべき部分を「cactus(サボテン)」に置き換えた意味的な間違いを含むものの2つ。被験者はERPを記録しつつ例文を聞き、間違いがあったかどうかを後で答える。また、外国人風の発音が中国人風のものであると識別できたかどうかの確認も行っている。
被験者はいずれの発音でも平均90%の正確さで誤りを指摘したが、脳の反応はネイティブ発音と中国人風発音では異なっていたそうだ。ネイティブ発音では文法的な間違いで前頭部に陰性電位が出現し、意味的な間違いではN400と呼ばれる意味的に逸脱した語に対して出現する陰性電位が強くみられたという。
一方、中国人風発音では文法的な間違いに対するERPの反応はなく、意味的な間違いにのみ遅い陰性電位が生じている。詳しく調査すると、中国人風発音を識別できた被験者では文法的な間違いにN400風の反応が出ていたとのこと。
この研究結果は、言語処理に関連した神経に対し、外国人風発音の経験や識別が及ぼす影響を理解するための新たな知見になる。今後は母国語の地方なまり・方言や外国語について、どのように脳が処理するのかを調査する計画のようだ。
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