2017年4月7日金曜日

40歳を過ぎても「企業が欲しがる人材」3つの共通点

 企業が中途採用をする場合、現場第一線の経験者を募集するケースが多くなるため、求人票には記載がなくても本音では20代後半や30代前半の人材を採用したい、という傾向が強くあります。しかし、中には40歳以上のミドル世代であっても、選考活動で企業にその魅力を発見され、若手の候補者に競り勝ち、企業からのオファーが集まる方がいます。そんな人たちに共通する傾向とは何か? 今回はそこに焦点を当てたいと思います。

■募集企業が、事業課題解決を目的にしているケース

 転職エージェント(企業向けには「人材紹介サービス」という言い方が一般的)は、転職を検討する人の希望条件や適性をヒアリングして、個人が活躍できる場所を見つけていく転職支援サービスである一方で、企業が求める人材要件をヒアリングして、企業にとっての理想の人材を探し出し、紹介するという、「採用支援サービス」でもあります。成功報酬を企業側から受け取ることもあり、転職検討者からの相談よりも、企業からの求人依頼がサービス開始の起点となることが多いようです。

 企業から求人依頼を受ける際には、大きく分けて、

(1) 募集の背景(経営体制の課題や事業・サービスの課題など)から詳しく説明を受けて、事業を前に進めるための人材獲得を依頼されるケース

(2) あらかじめ社内で議論して確定している人材要件(学歴・職歴・年齢・転職回数など)をもとに、その要件に合致する人材探しを依頼されるケース

という2つのパターンがあります。

 出現率としては、圧倒的に(2)のほうが多いのですが、そもそも若手人材を募集しているケースが多いため、このパターンで30代後半以上のミドル人材の採用がうまく進むケースは、あまり多くはありません。年齢上限からたった1歳ずれているだけで、どれだけ優秀な人材であってもシャットアウトされることなど日常茶飯事です。

 一方で出現率は低いのですが、(1)の企業の場合には、がぜんミドルの活躍機会が高まります。正確にいうと、(1)の企業は、事業の拡大・成長や経営上、解決したい課題が明確で、人材紹介会社に対しても、その課題を解決してくれる人探しを依頼するため、人材紹介会社としても、想像力、サーチ力、提案力が試されるぶん、その企業で活躍できる人を、年齢や経験を超えて幅広く提案できることになるわけです。

 40歳以上のミドル世代が(スペシャリストや経営幹部といった特殊な募集以外で)選考に進むことができる企業は、前提として、目的重視志向で柔軟性がある企業である確率が高いということになります。

■思考に柔軟性がある人

 では、40歳を過ぎても企業からオファーを受けやすい人の共通点にはどんなものがあるのでしょうか?

 1つめは、思考に柔軟性がある人です。転職相談の面談をしていると、希望する会社の条件(規模・知名度など)、やりたい仕事やポジション、年収などの希望条件などが非常に硬直的で、1ミリの条件違いも認めないという方針の方がたまにおられます。企業でいうと前述の(2)に近い感じです。条件が固まっている裏側には、それなりの理由があるのですが、とはいえ転職市場はナマモノで、売り手・買い手の合意あってのマッチングなので、売り手側の事情や都合だけではコトが進みません。

 逆に、思考に柔軟性がある人は、譲れない条件の明確化や、押すべき希望条件の押し具合や、あきらめるべき条件の引き際タイミング、代替条件の提案など、いろいろな要素を余裕をもって変動させながら、話をうまく前向きに進めていく交渉上手な人でもあります。転職すること自体で、自分が何を勝ち取りたいのかを明確に持っているため、絶対にはずせない目的だけを押さえて、心のハンドルに遊びがある状態を保てているのかもしれません。

 また、こういう方々の場合、「入社後すぐにこういう状態でなければいけない」という観念よりは、「入社直後から1、2年のスパンで自分がどう貢献できれば条件が変わっていくか」というように少し長めの時間軸で物事を判断されるケースも多く、それによってより柔軟性が高まるということもあります。

■採用する側のリスクを想像できる人

 年齢が上がっても企業に人気の人の共通点、2つめは想像力の豊かな人です。面談でその方のキャリアや希望条件や転職のきっかけなどをヒアリングした後、いよいよ具体的な求人の話になった瞬間、

*求人票から読み取れる、企業のホンネの募集条件・求められている人材像

*どういう応募者が集まっていそうか、その中での自分の優位性は何か

*採用する側が自分を採用する場合に考えるであろうリスク

などを考えめぐらし(ほとんどの場合、一瞬です)、その上で、どのような書類の書き方にするか、面接で何を話すべきかなどの作戦立案の相談を開始するような方が、ごくたまにいます。

 こういう方は、実際の相場観を知らなくても、いくつかのヒントから相場を把握し、どう対峙していくことがベストなのか、を一瞬で見抜く能力を持っていると思います。結果的に、転職に対する期待値も上げ過ぎず、下げ過ぎず、感情的にも安定した状態で活動を継続できる確率が高まります。

 もう一つの共通点は、素直さという武器です。

 ミドル層となると、過去2、3回転職していて、現在が3社目、4社目というケースも多々あります。転職回数を経験すればするほど、慣れが発生して、エージェントのあしらい方が上手、かつ粗くなってくる方もいます。複数の転職エージェントに希望条件だけ伝えて登録し、希望に近い案件を待つだけ、という方も中にはおられます。

 一方で、素直さのレベルが高い方は、いつも新鮮で、転職エージェントに対してもぶっちゃけた発言が多く、結果的に親近感が高まり、「この人の役に立ちたい」という欲求が強くなりがちです。転職エージェントをファンにしてしまうと、当然、頑張って結果を出すための案件開拓につながる効果もあります。

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