2017年11月29日水曜日
京大発ベンチャーが開発した「透明な窓用断熱材」
この断熱材「SUFA」はエアロゲルと呼ばれるものの一種で、組成の95%が空気という軽い物質。同社は低コストな製造方法を開発したほか柔軟性の改善なども行い、実用化に成功した。従来の断熱材は不透明なものしかなかったが、SUFAは透明なので窓など透明である必要がある部分に利用できるという。
バブルか飛躍的革新か、中銀悩ます仮想通貨
ビットコインは8営業日で50%上昇するなど急騰。中銀は相場が暴落すれば責任を問われるとの懸念も強めており、中銀当局者からは仮想通貨の規制強化を求める声が出る一方で、中銀独自の仮想通貨導入を検討する動きもある。
欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのノボトニー・オーストリア中銀総裁はロイターのインタビューで、「ビットコインの問題は、あっけなくバブルが破裂したときに中銀が無策だったと非難を受けかねない点にある」と指摘。仮想通貨に関連する銀行の動きが規制の見直しを必要とするかどうか把握に努めていると述べた。
世界の仮想通貨市場の規模は2450億ドルで、日銀や米連邦準備理事会(FRB)、ECBのバランスシートに比べて微々たるものだ。
しかし、仮想通貨は中央機関に依存していない。当局の規制下にある銀行や従来型の決済システムは介さず、ブロックチェーン(分散型台帳)と呼ばれるシステムを使っている。
このためハッカーの標的になりやすかったり、犯罪に利用されたりする懸念がある。また、仮想通貨を運用しているのが公的機関ではなく民間企業であるため、運営会社の経営が破綻したり、システム運用が停止することもあり得る。
こうした弱点を持ち、小売業界での導入も進んでいないため、中銀は仮想通貨を実体経済とは無縁のリスクの高いコモディティ—にすぎないとみなしてきた。
ECBのコンスタンシオ副総裁は9月、ビットコインを17世紀にオランダで起きたチューリップバブルになぞらえ、「投機の手段」と断じた。
仮想通貨による投機が盛んな中国と韓国は、仮想通貨技術を使った資金調達「イニシャル・コイル・オファリング(ICO)」を禁止。ロシア中銀もウェブサイト経由での仮想通貨の販売を禁じると発表した。ECBは昨年、「中銀のマネーサプライ管理に重大な影響を及ぼしかねない」として、仮想通貨の普及を後押ししない方針を示した。
一方、日本では4月にビットコインが法的な通貨と認められ、登録手続きを踏んだ企業にビットコイン取引所の運営が承認された。
ECB、日銀、ドイツ連銀は既に、将来の決済システムでの利用を視野に入れてブロックチェーン技術の試験に乗り出している。
商業銀行はこれまでのところ既存の仮想通貨に距離を置いている。ただ、既に電子決済システムが現金に取って代わりつつあることから、仮想通貨の普及でビジネスチャンスを失うことには警戒感を抱く。
このため、スイスの大手銀行UBSを筆頭とする6行は合同で、独自の仮想通貨づくりを試みている。
こうした動きは、銀行システムと決済システムの番人たる中銀にとっては危険をはらむ。
米セントルイス地区連銀のブラード総裁はロイターとのインタビューで「ある日目覚めたら、大半の大手銀行が骨抜きになり、ほとんどの事業がよそに移ってしまっていたということになりかねない」と述べ、規制当局が監視を怠れば金融危機につながりかねないとの考えを示した。
スウェーデンのリクスバンクや英イングランド銀行などは、中銀版デジタル通貨(CBDC)導入の利点について検討している。CBDCの保有者は、中銀に直接債権を持つという点では紙幣の保有者と同じだが、大量の現金を抱えておく不便は免れる。
中銀としては金融業界を通さず、実体経済に直接流動性を供給できるようになるため、金融政策の有効性が増すとの研究もある。しかし、金融危機になれば預金者は市中銀にある預金をCBDCに交換したくなり、取り付け騒ぎを助長する恐れもある。
日本銀行の山岡浩巳・決済機構局長はトムソンロイター主催による金融技術(フィンテック)関連のパネルディスカッションに参加し、仮想通貨の技術が銀行業に革新を起こす可能性があるとした上で、近い将来に仮想通貨が現金に取って代わることはないとの見方を示した。
パナソニック、磁界結合方式のロボット用無線給電ユニットを開発
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00451946
ロボットでは各関節部分にサーボモーターを搭載しているが、そのため各関節部分までに電力供給用のケーブルを用意する必要があった。開発された給電ユニットは直径11cm、厚さ2.3cmほどのサイズで、重さは約800g。最大300Wの電力を送信できるという。また、同時に最大10Mbpsでのデータ電送も可能という。
2017年11月21日火曜日
三菱UFJ銀、23年度末までに6000人削減
低金利の長期化で厳しい経営環境が続く中、デジタル化を一層加速させて業務の効率化を急ぐ。
持ち株会社の三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の平野信行社長が21日、投資家向けの説明会で明らかにした。
採用者数の抑制や退職者の増加による自然減での削減を進める方針だ。
三菱東京UFJ銀ではこれまで23年度末までに9500人分の業務量を削減すると表明していた。
みずほフィナンシャルグループも、従業員(臨時含む)約8万人を26年度末までに1万9000人減らす方針だ。具体的には、21年度までに8000人を削減し、1000億円程度の経費を減らす。その後、24年度までに合計で1万4000人を削減する。
2017年11月20日月曜日
AIすげええ! ロボットが “医師国家試験” に合格! 誕生から9カ月、知識は医学博士レベルらしい / 人間の医者が消える時代きちゃう?
さて、そんなAI界に衝撃のニュースが走った。今度は、AIが医師国家試験に合格したというのだ。……マジかよ! もうそんな未来なの!? ロボットのお医者さんがついに誕生するのだろうか。
・世界初! AIが医師国家試験に合格!
医師国家試験の筆記試験を通過したのは、「暁医(シャオイー)」と呼ばれるAI搭載のロボット。どことなくソフトバンクのペッパーに似ているが、中国の名門大「清華大学」と中国企業「iFlytek(アイフライテック)」が共同開発したロボットである。正式名は『智医助理』とのこと。
さて、そんな暁医は2017年8月、本物の医師国家試験に臨んだという。他の受験者への配慮もあり、さすがに別室対応。試験用紙も暁医のみ電子版が使われたが、内容はもちろん同じ。ネットが遮断された部屋で、技術者や試験監督らが見守るなかで行われた。
結果は……600満点中456点という点数で見事合格! この成績は"中の上"とのこと。ぶっちぎりトップではなかったものの、合格点を96点上回る成績。余裕で筆記をパスしたと言えるだろう。ロボットの医師国家試験合格は世界初とのことだ。
・医者に代わってロボットが診療する時代がくる?
"AI医師国家試験プロジェクト" スタートから9カ月でのスピード合格。その知識も深く、医学博士レベルに相当するのだとか。うむ、暁医がスゴイのはよーくわかった! しかし、医療の知識をもったロボットは一体何ができるのだろうか? まさかお医者さんにとって代わってしまうの?
この疑問について、iFlytekの陶暁東氏は、「実際の診療には常に突発的な状況が発生するものです。AIは医学知識を網羅しているにすぎず、知識の運用はまだ完全とは言えません」と話しているそう。
清華大学の呉及氏も「ロボットは診療補助は可能ですが、医師に代わって診療をできるものではありません」としており、あくまで診療のスピード化や医師の負担軽減が当面の目的であるようだ。
・診療助手としての活躍が期待
暁医は筆記試験にも合格したが、技能テストは受けておらず、医師の資格はまだ得ることはできない。しかし、知識が豊富で判断も早いのは事実。すでに中国全土50以上の病院に配備されており、何科にかかるべきかといった受付案内などをしているそうだ。
今後は、さらに一歩すすみ医師の診療助手、また地域のコミュニティなどの場での活躍が期待されているとのことである。
Fスターズ---大幅続伸、国産量子コンピューターの試作機を無償公開との報道で
2017年11月7日火曜日
日経平均、一時2万2666円超え 平成8年6月のバブル崩壊後の最高値を上回る
前日の米国株相場はダウ工業株30種平均など主要な3つの株価指数がそろって過去最高値を更新。一方、東京外為市場で円相場が一時1ドル=113円70銭近辺とやや強含み、平均株価は朝方に下げて始まった。
ただ、発表が本格化している企業決算は総じて好調で、「下値では買い意欲が強かった」(大手証券)。平均株価はじわりと上げ幅を広げ、バブル崩壊後の戻り高値を一時上回った。
全米の学校が使う授業「ゲーム化」アプリ
アプリ上では、病欠連絡や学校からの知らせなどを確認できる。生徒を褒めたいときは、本人のアバターにポイントを加算してあげる。そして、1日に2回は教室の写真や動画を親たちにシェアする。
ClassDojoは、常にフィードバックを提供する2万人の教師たちによって形作られている。共同創業者のサム・チョーダリーCEOはこう話す。
「教育アプリなら、現場の教師に耳を傾けるのが一番いい。当たり前のようだけれど、誰もそうしようとはしなかったのです」
いまやClassDojoは35カ国語に翻訳され、180カ国で導入されており、毎日700万人の子供が使用しているという。
ClassDojoは、基本的には無料アプリだ。アプリ内には有料機能もあるが、それを教師や子供たちが使うよう仕向けようとすると、反発を招いてしまう点が難しい。
そこで、学外の学習に関する機能を有料にし、私立校には行かせられないが子供の将来に投資したいという親をターゲットにする──。これが、ClassDojoの黒字化戦略である。
2017年11月6日月曜日
登場!AI先生 教育はどう変わる?
鈴木
「AI=人工知能についてです。
この番組でたびたびお伝えしていますよね。」
河野
「囲碁や将棋でプロ棋士を破ったり、恋愛相談に乗ってくれたりするAIというのもありましたね。」
鈴木
「そして今日(9日)は、勉強を教えてくれる『AI先生』の登場です。
生徒の評判は、どうなんでしょうか?」
生徒の評判は? どうなる?人間の先生
リポート:松井裕子記者(社会部)
東京・世田谷区にある学習塾です。
生徒は黙々とタブレット端末に向き合い、AI先生の指導を受けていました。
人間の先生からの指導は、ほとんどありません。
生徒はどう感じているのでしょうか。
生徒
「『AIの先生』とどっちが自分を分かってくれるかと言うと、『AIの先生』のほうが早く分かって早く直せる。」
AI先生は、それぞれの生徒の習熟度に合わせ、いわば「個別指導」を行っています。
この生徒に出しているのは、エックスの解を求める、方程式の問題。
生徒は、計算途中の式を答えとして記入したために、不正解となりました。
するとAI先生は、生徒がどこでつまずいたのかを気づかせるための別の問題を、すかさず出します。
生徒は間違えやすいポイントに気づき、正しい答えの出し方にたどりつくことができました。
AI先生が持つ問題のレパートリーは、およそ1万。
そこから、各生徒に最適な問題を出題することで、効率的な学習を可能にしています。
中学1年生のこの生徒は、すでに3年生の問題に取り組んでいます。
生徒
「これだと、立ち止まって復習して、分からないところを無くしてから先に進める。
どんどんできるようになる。」
実はこの塾、AIの教材を開発している会社の一角にあります。
社長の神野元基(じんの・げんき)さんは、以前は一般的な塾を経営していましたが、最も効率的な学習方法を模索する中で、AI先生にたどりついたといいます。
AI教材会社 社長 神野元基さん
「一人一人に最も最適な問題を出したら、本当はもっと上がる。
一気に勉強するということに関しては、人工知能が最も優れている。」
AI先生の登場によって、講師の役割は大きく変わっていました。
以前は数学を教えていたというこの講師。
今は、AI先生からリアルタイムで送られてくる生徒たちの状況をチェックするのが主な仕事です。
「手が止まっている」といった指摘や…。
独自に算出した、集中度を表すグラフを見守っています。
講師
「集中力が下がってしまっている場合は声をかけて、リフレッシュさせてあげたりとか。」
講師
「難しい?順調?」
現在、AI先生は数学を教えることしかできませんが、神野さんは、ほかの教科にも広げていきたいと考えています。
AI教材会社 社長 神野元基さん
「今までの、国語・数学・理科・社会・英語みたいなものを一番効率良く学習しようと。
ゆくゆくは、公立の小学校だとか中学校にもアプローチできたらいい。」
今後の普及は… 人間はどうなる?
河野
「ここからは、取材にあたった社会部の松井記者とお伝えします。
AI先生、すごくおもしろかったんですが、実際に教育現場ではどれぐらい広がっているんですか?」
松井裕子記者(社会部)
「すでにほかの塾でも導入が進んでいるんですが、利用している生徒はまだ500人程度です。
ただし、AIの進歩の早さを考えると、今後、教育分野にも急速に普及することは避けられないのではと思います。」
鈴木
「そうすると気になるのは、人間の先生の役割はどうなってしまうんだろうということですよね。」
松井記者
「このAI教材を開発した会社によると、今のAI先生では、生徒たちがみずから思考する力や、周りの人と意見を交わしながら協力する力を育てることは難しいということです。
AI先生ができないことをどう指導していくかが、まさに人間の先生の腕の見せどころで、その模索が始まっているんです。」
何を教えるのか 始まった模索
中学校の理科の授業です。
教室には、6台のカメラが並んでいました。
AI時代に先生が何を教えるべきか、東京学芸大学が行っている研究です。
東京学芸大学 鎌田正裕教授
「知識だけ与えておけばいいという時代ではなくなった。
授業の中でどういうスキル・キャラクターが身につくか。」
教員には、ふだん通りに授業を行ってもらいます。
この日の課題は、プラスチックの種類を、実験を通して特定することです。
教員は、子どもたちに具体的な実験方法をあえて指示しませんでした。
子どもたちは、どんな実験方法が適切か自分たちで考え、話し合っていきます。
複数の方法から、よりよいものを相談しながら1つにまとめ上げていきました。
研究チームが観察していたのは、生徒が主体的に考える力や、ほかの生徒と協力する力を引き出しているかどうかです。
研究チームは、活発な意見交換が行われた今回のような授業こそ、AI時代に求められると教員に伝えました。
東京学芸大学 鎌田正裕教授
「授業で実験方法を考えさせる場面設けることが、先を見通す力を育成する場面になっていて、そのひとつの典型がここに出ている。」
�田太樹教諭
「子どもたちのために教員がやるべきこと、もしくはデジタルに任せられるところはある。
こういうスキルを育てたいとかは常に考えていかないといけない。
負けたくないっていうのも、もちろんある。」
AIと人間 生徒のために…
河野
「『負けたくない』と人間の先生が言っていましたが、今のリポートを見ていますと、これからの『人間の先生』というのは、単に知識を教えるだけではやっていけないというのがよくわかりますよね。」
松井記者
「AI時代に、先生の役割が変わっていくというのは避けられないと思います。
これを脅威に感じる人もいるかもしれませんが、生徒にとっては必ずしも悪いことばかりではないと思います。
AIに任せられることは任せることで、先生にできることが広がっていくということもあるんです。」
鈴木
「つまり、知識を教える以外のことに、人間の先生は力を注げるということですよね。」
松井記者
「そうですね。
さらに今、先生は、いじめや不登校などさまざまな問題に直面していて、多忙で時間もないと言われています。
AI先生をうまく活用すれば、その分、時間に余裕ができて、よりきめこまやかな教育を行うことも考えられると思います。
生徒のためになるAIと、人間の共存のあり方を探っていく必要があるのではないかと思いました。」
中国、次は“AI教師” 5兆円投入 世界一“AI国家”へ
米アップルのスマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」の音声アシスタント機能「Siri(シリ)」をはじめ、人間の声に反応し、音楽やニュースを流したり、家電を操作できたりするスピーカーや自動運転車などなど、人工知能(AI)の普及ぶりにはめざましたものがありますね。
とはいえ、かつての本コラムでご紹介したように、車いすの天才宇宙物理学者で知られる英のスティーヴン・ホーキング博士や米宇宙開発企業、スペースXのCEO(最高経営責任者)などを務めるイーロン・マスク氏といった最先端の考えで動く人々が「AIが人類を滅ぼす」的な警告で物議を醸すなど、AIが日常の一部になることへの抵抗感が強いのもまた事実です。
そんななか、あの国がいま、国を挙げて、あらゆる分野での"AI化"を猛スピードで進めています。中国です。なかでも最近、世界を驚愕(きょうがく)させているのが、学校の先生をどんどん"AI化"しようという計画なのです。
10月14日付で香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP、電子版)が報じているのですが、中国の最高国家行政機関である中国国務院が今年の7月、2030年までに、中国をAI開発の分野における世界の中心地に育てるというAI活用計画の一環として、AIを使った教育を国家戦略に位置づけると発表。
政府の教育部は、農村部の子供たちにも最新のAI教育が受けられるように、地方レベルも含む全行政組織に対し、年間の教育関係予算の8%以上を教育のデジタル化に費やすよう要求しているといい、こうした動きを後押しすべく、中国政府は既に昨年、3000億元、日本円にして約5兆1500億円をこの分野に投資したというのです。
中国国内には現在、約1400万人の教師と、約1億8800万人の生徒たちがいるというのですが、AIの本格導入によって、彼らをとりまく教育環境が劇的に改善するのは間違いなさそうです。
例えば、上海に拠点を置くオンライン教育サービスのベンチャー企業「マスター・ラーナー」には超優秀な"AI教師"がいます。
日本の某"学習アプリ"と桁違いな高レベル
この"AI教師"は既に国内の中学校で最も多く出題された計約5億問のデータを蓄積しており、文字通り、人民の人生がかかった高校入試である全国普通高等学校招生入学考試「高考(ガオカオ)」でも高得点を挙げ続けているといいます。
具体的には、専用のアプリをタブレット端末にダウンロード。このアプリを介し、生徒に対して設問や宿題が出されます。
生徒たちは回答をノートなどに手書きしますが、このシステムは手書きの文字をデータとして認識。この答えを"AI教師"がリアルタイムで採点。同時に、例えば数学だと、どこで答えを間違えたかや、その間違いがどこでどう発生したかについてまで細かに分析。生徒がどこから勉強し直せばよいかまで示唆(しさ)してくれるというのです。
さらにこの"AI教師"は生徒1人1人だけでなく、クラス全体の習熟パターンを分析し、クラスとしての問題点をあぶり出すこともできるのです。まさに家庭教師ではなく、リアルな学校の先生なわけですね。
同社のエンジニアのひとりはこのSCMPに対し「"AI教師"の助けを借りれば、人間の教師の負担は大幅に軽減されるとともに、1人1人の生徒によりきめ細かく適切な指導ができる」と指摘します。
この"AI教師"、同社のエンジニア300人が協力した作り上げたAI教育プログラムのプラットフォームなわけですが、この企業の創業者兼最高経営責任者(CEO)であるZhang Kailei(チャン・カイレン)氏はこのSCMPに「教育において、効率性と教育の質を両立させることは非常に困難でしたが、AIを用いればそれが可能になります」と説明。同社が既に1億ドル、日本円にして約113億円の企業価値を獲得、つまり、投資家のグループから資金を調達したと胸を張りました。
また、中国最大規模のオンライン教育サービスのひとつ、Hujiang(●江(●=さんずいに戸))では、画像と音声の認識システムを活用し、生徒の表情や反応をリアルにコンピューターに取り込むことで、オンライン学級における教師と生徒との交流をよりリアルなものに改善する取り組みを続けています。
こうした動きを受け、中国のアナリストやビジネス関係者は、計約1億8800万人の生徒が学校で学ぶ中国で、AIは教育の質を上げるための避けられないステップであると声をそろえます。ある関係者はこのSMPCに「AIは中国の教育産業を改善するだろう。コストは削減され、効率性は向上する」と断言。
そして、マスター・ラーナー社のチャン・カイレンCEOは同じSMPCに「良い教師と学校は首都圏に集中しているが、農村部の教育環境は劣悪である」と述べ、いまの中国の教育制度が直面する課題が、教育資源の分配の不均衡であると明言し、将来を次のように予測します。
「適応型の学習技術やインテリジェントな学習管理システムなどを通じ、生徒はオンラインによる(効率的な)学習方法を入手します。同時に、教師への依存度を減らし、個人化された教育サービスを受けることができるようになります」
確かにそうですね。"AI教師"が優秀であればあるほどリアルな教師の数を減らせ、当然ながら彼らに支払う人件費や経費なども減らせます。多大なコスト削減です。
たった「コーラ飲料1本分」料金で教育格差を是正
実際、AIを使った英語学習サービスを提供している上海の振興IT系企業の最高技術責任者(CTO)も同じSCMPに「中国の一般的な英語訓練校だと年間の学費は通常、3万元(約51万5000円)になりますが、弊社だと年間966元(約1万6600円)。つまり、1日あたりコーラ1本分の出費で済みます」などと述べ、AIを駆使した教育システムの優位性を強調します。
この企業、生徒は60万人いるそうで、AIによって薄利多売を実現できたわけですね。
前述したように、中国では、国家戦略に位置付けた教育分野だけでなく、軍事や経済(労働力のコスト削減)といった分野でもAI化が猛スピードで進んでいます。
6月29日付のSCMP(電子版)によると、昨年、中国政府は、来年までに150億ドル、日本円にして約1兆7000億円以上の規模を有するAI市場を創出すると発表。北京ではすでに全国の大学や研究機関に勤務する何百万人もの研究者がAIの研究に携わっているといいます。
また中国のシンクタンク「Wuzhen Institute(ウーチェン研究所)によると、中国は、昨年、AI企業に総額26億ドル(約2900億円)を投資しており、この分野で世界第2位でした。ちなみに1位は米国で179億ドル(約2兆円)で大差を付けてはいるものの、米国は中国の追い上げに危機感を持っています。
実際、7月27日付の英経済誌エコノミスト(電子版)によると、中国におけるAI関連の特許出願数は2010年から14年までの4年で約3倍に増えています。
AIに関する研究課題のひとつ「機械学習」について研究する科学者でもある北京大学のFeng Jufu(フェン・ジュフ)教授はSCMPにこう述べています。
「13億8000万人の人口を有する中国は、世界最大の(ネットの)利用者のデータベース貯蔵庫であり、機械学習における"パラダイス"である。AIは子供のようなもので、より多くの人が利用すれば、学び方もより早くなる。そしてより多く学べば、習熟度はより向上するのです」
何と言っても数は力。データの母数が多ければ多いほどAIが賢くなるとすれば、やはり中国が優位に立つことができますね。
前述したように、中国では、国家戦略に位置付けた教育分野だけでなく、軍事や経済(労働力のコスト削減)といった分野でもAI化が猛スピードで進んでいます。
6月29日付のSCMP(電子版)によると、昨年、中国政府は、来年までに150億ドル、日本円にして約1兆7000億円以上の規模を有するAI市場を創出すると発表。北京ではすでに全国の大学や研究機関に勤務する何百万人もの研究者がAIの研究に携わっているといいます。
また中国のシンクタンク「Wuzhen Institute(ウーチェン研究所)によると、中国は、昨年、AI企業に総額26億ドル(約2900億円)を投資しており、この分野で世界第2位でした。ちなみに1位は米国で179億ドル(約2兆円)で大差を付けてはいるものの、米国は中国の追い上げに危機感を持っています。
実際、7月27日付の英経済誌エコノミスト(電子版)によると、中国におけるAI関連の特許出願数は2010年から14年までの4年で約3倍に増えています。
AIに関する研究課題のひとつ「機械学習」について研究する科学者でもある北京大学のFeng Jufu(フェン・ジュフ)教授はSCMPにこう述べています。
「13億8000万人の人口を有する中国は、世界最大の(ネットの)利用者のデータベース貯蔵庫であり、機械学習における"パラダイス"である。AIは子供のようなもので、より多くの人が利用すれば、学び方もより早くなる。そしてより多く学べば、習熟度はより向上するのです」
何と言っても数は力。データの母数が多ければ多いほどAIが賢くなるとすれば、やはり中国が優位に立つことができますね。
この分野で米中に遅れを取っている日本。AIを教育や遠隔地医療などに役立てるための本格的な研究が待たれるところです。