2012年7月6日金曜日

海外移住で人生大逆転を本気で狙う方法

マネ美先生のクイズ編【海外移住】はこちら  ビジネスリーダーに向けたお金塾。第5回目の今日は、「本気で!海外移住計画」。超高齢化社会、経済縮小、年金問題に原発問題……。日本に住み続けるより、いっそ家族で海外移住するのも手か!? そう思い立ったサラリーマン一家が海外移住について専門家に実現する方法を聞いた。マネ美先生クイズ とテキスト『課長のためのお金塾』とを合わせて、マネーの知恵を生きる力に変えましょう。

我が家も海外移住できる?

:ねぇあなた、私、最近考えていることがあって…。

:何だい? 何でも話してよ。

:私たち家族4人で、日本を出て海外に移住しちゃわない!?

:いきなりだな〜。でも気持ちは分かるよ。子供たちのことを考えると、このまま日本にいていいのかっていう気分になるよな。

:昔友達がね、10年くらい前にオーストラリアに移住してたのよ、意外と簡単に。だからウチもできるかもしれない!

:さっそく、海外移住について詳しい人に聞いてみよう。

今、現実的な永住先ははカナダとマレーシア

アエルワールドの大森健史さん(以下、大):こんにちは。私は各国への海外移住サポートをしていますが、どこの国を希望ですか?

:オーストラリアです。

:残念ながら、オーストラリアの永住ビザの取得は、会社経営者や投資家富裕層でない限り、現在は大変難しくなったと言っていいでしょう。

:えっ…(いきなりショック)

:移住先として人気ですが、数年前から移住者が増えて、今は条件を非常に難しくしているんです。英語の試験はネイティブでも難しいといわれるほどです。

:オーストラリアはあきらめよう。カナダなど他の国はどうですか?

:カナダは永住権取得への道が開けている国の一つです。方法は三つありますが、「カナダ経験クラス」という移民枠があり、所定の留学や就労条件を満たせば永住ビザを申請できるので人気です。子供はその間、現地の学校に留学させます。

:ふむふむ、2年間留学した後に就労ビザをもらって、1年間働けば申請できるのね。専門技能職って何ですか?

:すし職人や日本食の板前などの「手に職系」ですね。

:すし屋かぁ… 。一応僕は管理職経験もあるんですが…。

:そういう能力は永住権申請にとってはそれほど有利になりません。現地でも通用する医師、看護師などのハイスキルの方なら「専門職枠」で入れる可能性もありますが、ホワイトカラーの場合は直接現地の会社に雇ってもらう方が近道です。

特にスキルがない人でも移住できそうな国は?

:私のような普通の会社員だと、他にどんな国に移住できますか?

:マレーシアの長期滞在ビザは、最近は資産条件を高めに求められますが、取得できる可能性は高いです(図表参照)。

:シンガポールに一発で永住権取得するには20億円の売上実績が必要って、普通じゃムリっすね(泣)。まずは就職か起業かぁ。

日本の年金や税金、健康保険など移住したらどうなるの?

:ところで移住すると年金制度はどうなるんだろう?

司法書士の川原田慶太さん(以下、川):こんにちは。私は国内での相続対策などに加え、海外移住者への法務サポートもしています。国民年金ですが、日本に住所がある20〜60歳未満の人に加入義務があるので、海外へ転出届けを提出して住民票を抜けば、加入義務はありません。

:加入をやめると、これまで支払った保険料はパーになるんです!?

:移住後も任意加入はできます。公的年金は基本的に25年以上保険料を納めるか、免除手続きをすれば支給されます。

:正直言って、納める保険料と今後の年金制度の未来を考えると、無理に加入しなくてもいいかと思ってしまうなぁ。日本から住民票を抜いた場合の注意点は他にありますか?

:まず、日本の住民ではなくなるので住民税を支払わなくてもよいことになります。ですが移住した国の住民になるので、その国での住民税がかかります。

:国民健康保険(以下、国保)についてはどうなりますか?

:海外転出届けを出して日本から住民票を抜くと、国保に加入できません。この場合の注意点は、米国のように国民皆保険制度でない国の場合、医療費は全額自分で支払わなければならないので、現地の民間保険に加入することを考える必要があるでしょう。

 一方、日本に住民票を残せば国保は強制加入となるので、(日本の保険対象なら)海外で治療しても、領収証や診断証明書などを提出すれば基本的に還付金が受け取れます。また、海外に永住の意思を持って移住した後に、日本の民間保険に加入することは原則できません。

総合的に考えて移住しやすいのはマレーシア?

:移住方法を調べると、先進国のカナダやオーストラリアなどに頑張って留学して行くか、マレーシアやタイのような経済成長が見込める東南アジアに長期滞在ビザを取って行くかの二者択一になりそうだな。

:そうね。洗練された先進国も魅力的だけど、子供の中国語教育を兼ねたアジア移住も興味があるわ。特にマレーシアは物価が安くて現実的じゃない? GDP成長率は2010年で約7.2%。インフレ率は約1.7%で、元気があるわね。実際に移住した人の話を聞いてみたいわ。

Hideさん(以下、H):こんにちは。私はマレーシアには09年から不動産投資しているHideです。現在は首都のクアラルンプールを拠点として活動しています。

:実際に住んでみての感想は?

H:非常に住みやすいですよ。まず文化ですが、マハティール前首相が提言した日本の経済成長を見習えという「Look East政策」がマレーシア人の根底にあるので、非常に親日的で礼儀もしっかりしています。これは永住する上で大切です。

:宗教や治安はどうですか?

H:人口の半分はマレー人で、彼らの宗教はイスラム教です。ですが経済の中心を担うのは中国出身の"マレー華僑"ですから、仏教も信仰されている。まさに多様性を認めた国家です。イスラム教というと日本人はすぐに驚きがちですが、宗教的なデモを現地で見たことがありません。

:そんなに治安がいい理由は?

H:マレーシアは9つの州に9人の王様がいる民主国家で、政治的に非常に安定している国なんです。また、首都クアラルンプールはイスラム金融のメッカであり、世界中のイスラム債の約65%を発行している。さらにマラッカ海峡は国際的に重要な天然資源や水源地であるし、"世界の空のハブ(中心的な空港)"であるため、暴動が起きにくいわけです。

:いいことづくめだな。Hideさんが心配している点はないのですか?

H:もちろん100%完璧という国はありません。私もつい3年前から投資と移住をしたばかりですし、そもそもマレーシアは「完成された国」ではない。現地の人も今、隣のシンガポールを目指して一生懸命勉強し、働いているのです。ですからマレーシアに関して何かを「保証する」のは逆にインチキだと思いますよ。

:まさに新興国の成長と夢にかける、ということですね。

国の成長に賭けるコストは?

H:私は日本を捨てようとは思っていない。まだ道路や電車、街もキレイでしょ。でもこれらは過去の遺産であって、私たち子育て世代は、次の30年、40年を考えなきゃいけない。どこに行っても仕事がある自分や子供でありたいと意識したときに、次の首相のみならず子供たちの年金制度ですら予測できない日本で萎縮するより、成長の可能性が多いマレーシアに来たいと思ったのです。

:私たちも移住できますか?

H:まず滞在ビザですが、マレーシアにはMM2Hという長期滞在ビザ(最長10年滞在可能、延長申請も可能)があります。50歳未満の人の場合、HSBCなどの現地の銀行に50万リンギ(約1350万円)の資産残高があり、毎月の収入が1万リンギ(約27万円)あることが条件です。

これがクリアできたら、資産の中から300万リンギ(約800万円)をマレーシアの銀行の定期預金に投資すると、申請資格を得られます。

:共働きで子連れの場合は?

H:子供は連れて来られますし、夫婦の場合、収入合計額でOKです。ちなみにビザを取得しても滞在義務はありません。

:おー、この額ならウチでも可能だな! あとは現地で27万円の月給をもらえるように働けばいいんだな!

H:残念ながら、MM2Hと就労ビザは同時に取得できません。方法として考えられるのが、MM2Hを取って貯金で暮らしながら現地採用を狙って就職活動するか、日本での収入は維持しながら母子だけマレーシアに滞在するというやり方です。

まず視察のための滞在がオススメ

:現地企業が日本人を採用する可能性はあるのでしょうか?

H:日系の大手企業がたくさん進出しているので、英語と中国語ができれば可能性は高いと思いますよ。

:日系企業だと月3000〜5000リンギ(約8万〜14万円)らい給料が出ると聞いたことがあるぞ。

H:私がオススメする移住の手順としては、まずMM2Hを取って6カ月くらい現地視察し、人脈も作ってみる。その後、就職、起業、不動産投資などから自分に可能な収入手段を考えればいいと思います。滞在義務はないので、ダメだと思ったら日本に戻ればいいのですから。

:少ない初期投資額で新たな人生をスタートすることができると分かってよかったな。わが家にも選択肢が増えたぞ!

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