JR東日本は5日、シンガポールにアジア初の事務所を設ける、と発表した。海外市場の開拓が狙いで、主に情報収集やマーケティング調査を行う。人口減で国内鉄道市場が縮小傾向にある中、積極的な海外進出によって成長を確保する。
シンガポール事務所は3月15日に開設し、当初は4人が業務にあたる。アジアでの鉄道プロジェクトへの参画を目指すほか、情報収集や市場調査の対象には「駅ナカ」と呼ぶ駅構内の商業施設やホテルの運営の事業化も含める。
同日会見した冨田哲郎社長は「中期的には車両だけでなく、メンテナンスやオペレーション(運行管理)を含め、ビジネスモデルそのものを輸出したい」と述べた。
JR東は海外進出に力を入れており、昨年11月にはベルギーのブリュッセルに同社初の海外事務所を開設し、2月1日に業務を始めた。ブリュッセルの事務所は情報収集や市場調査だけでなく、鉄道部品を含む資材の取引先開拓にもあたる。
同社は2011年3月に投入した新幹線「はやぶさ」の車両で、ブレーキ装置にドイツメーカーの部品を採用した実績がある。冨田社長は会見で「日本の技術は高いが、すべてが世界一ではない。それを積極的に取り入れることは事業の可能性を広げるのに必要」とも語り、今後は海外製部品の調達を拡大していく考えを示した。